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冬の口笛
口笛が田舎の空に響いてゆく。冷たい空気の中に長く、甲高く、細く。
その旋律は何か意図を持って紡がれるわけではない。
作曲者兼奏者のオレでさえ、きっと再現することは出来ない程適当で、いい加減で。
寒いけど、澄んだ空気が肺に入ってくるのが嬉しくて。
なんとなく吹き始めた口笛。
そんな秩序の欠けらもないメロディは、それでも冬の高い空にしみ込んでいく。
「ヘタクソ」
観客から声がかけられたのは、一際ひどく音が擦れた時だ。
反射的に、そちらを見た。というか、睨み付けた。
「ヘタクソで悪かったな」
「まったくよ」
ストレートな言葉に、オレは更に目付きを鋭くした。
自分でもわかっていることを指摘されたら人間は大抵、腹を立てるものだ。
それが欠点であったら尚更そうだと思う。
しかし、その無遠慮な観客は言葉とは裏腹になんだか楽しそうな顔をしていたので、オレは結局何にも言えなかった。
穏やかな気分ではない。だが怒る気にもならないというのが本音だ。
どっちも何にも言わないもんだから、自然と会話が途絶える。
でもその沈黙は長くは続かなかった。
「ね」
「なんだよ」
視線は向けなかった。そんな気分じゃなかった。
分かりやすく言うと、オレは少し拗ねていたのだ。
「もしかして、怒った?」
「別に」
「ホントに?」
「ホント」
「じゃあ、拗ねてるんだ」
「………拗ねてねぇ」
言い当てられて、オレは余計にヘソを曲げる。
しかし全部分かられているかというか見透かされているかというか。
ウィンリィは、オレの手を握って笑う。
その手のひらは、少し冷たい。
「ねえ」
「………今度はなんだよ」
機嫌が直ったわけじゃないが。
今度はちゃんと返事をした。風は相変わらず冷たい。
「もっかい」
「あ?」
「口笛。もっかい、聞かせてよ」
思わず、顔をしかめてウィンリィを見た。
何を言いだすんだろう。しかし青い目は真っすぐにこちらを捉えている。
「…………ヘタクソって言ったじゃねーか」
「言ったけど。嫌いとは言ってないじゃない」
「わけわかんねーよ」
「いいから。ね、もっかい」
ダメ?そう言わんばかりに、首を傾げられた。
よくわからなかったが、とりあえずオレは視線を逸らして、空いてる方の手で頭をかいた。
赤いであろう顔を隠すためだ。上目遣いは反則だ。
「………一回だけ、だからな」
「うん」
観念してオレは、冷たい空気を吸い込んだ。
細く、長く、染み込むように、口笛は空に響く。
相変わらず、旋律に規則や調和と言ったものは皆無だった。
やっぱりヘタクソ。ウィンリィは楽しそうにそう言って、ぎゅっと握る手に力を込めた。
拍手ログ。田舎暮らし未来パロ。だからなんだって話。
スキマの同名曲をモチーフしたりそうでなかったり。
はたから見てるとただじゃれあってるようにしか思えなくてイライラしますね!(チキン肌)
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